こんにちは。
埼玉県富士見市・鶴瀬駅東口徒歩2分の司法書士福田龍之介事務所です。
相続のご相談を受けるなかで、
「どこまでが“遺産分割の対象”になるのかがわからない」
というご質問をよくいただきます。
この記事では、遺産分割の対象となる財産について、
さらに重要なポイントである「いつの時点の財産が対象なのか(基準時)」や、
「その後消えてしまった財産」の扱いについても、わかりやすく解説いたします。
1. 遺産分割とは?
遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の財産を、相続人同士でどのように分けるかを話し合う手続きです。
遺言がない場合や、遺言で一部しか指定されていない場合は、相続人全員での協議(遺産分割協議)が必要です。
2. 遺産の範囲を定める「基準時」とは?
遺産に含まれる財産は、相続開始時点=被相続人が亡くなった時点で存在していた財産が基準になります。
これを「基準時」といい、この時点での財産が遺産分割の対象です。
📌 ポイント:
相続開始後に財産が増減しても、原則として「亡くなった時点」の財産状況で判断します。
3. 相続開始時にあったが、その後なくなった財産はどうなる?
たとえば次のようなケースが該当します。
- 被相続人名義の預金が相続開始後に誰かにより引き出された
- 相続開始後に不動産が売却されて現金化された
- 有価証券が解約・換金された
これらは相続開始時点では確かに存在していたため、原則として遺産分割の対象です。
◆ 現存しない財産の扱い
- 代償的に現金等で調整する:売却済不動産であれば、売却代金を分ける対象に。
- 使途不明金として調査・精算:無断引き出しの預金などは説明責任が求められます。
- 相続人の一部が取得・消費:「特別受益」や「不当利得」として考慮されることも。
💡 相続開始時の財産状況をできるだけ正確に把握することが大切です。
通帳の記帳、取引履歴の取り寄せ、公図や登記簿の確認などが有効です。
4. 遺産分割の対象となる代表的な財産
✅ 対象になる主な財産(プラスの財産)
- 不動産(土地・建物)
- 預貯金(銀行・ゆうちょなど)
- 株式・投資信託などの有価証券
- 自動車、貴金属、骨董品などの動産
- 貸付金、未収金など
5. 遺産分割の対象外となる財産
❌ 原則として協議対象にならない財産
- 生命保険金(受取人が指定されている場合)
- 死亡退職金(勤務先の規定で支給される場合)
- 年金受給権・扶養請求権などの一身専属権
- 生前贈与された財産(ただし特別受益として考慮される場合あり)
6. マイナスの財産(借金など)はどう扱う?
借金や未払いの税金など「負の遺産」も相続されますが、遺産分割の対象とはなりません。
相続人が法定相続分に応じて、自動的に負担することになります。
✔ 借金の金額が大きい場合は、「相続放棄」や「限定承認」も検討しましょう。
7. トラブル防止のためのポイント
- 相続開始時点の財産内容を明確にする(通帳・登記簿・証券明細の確認)
- 引き出し・換金された財産の使途は記録しておく
- 相続人の一部による処分があった場合は協議・調整が必要
- 弁護士・司法書士など第三者によるサポートも有効です
8. まとめ
分類 | 内容 |
---|---|
✅ 対象になるもの | 相続開始時点で存在していた財産(不動産、預金、有価証券など) |
❌ 対象外のもの | 生命保険金、年金、一身専属権、生前贈与財産(特別受益を除く) |
⚠ 注意すべきもの | 相続後に処分された財産(売却、不正引き出し等)は代償・精算の対象に |
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当事務所では、以下のような相続手続きのサポートを行っています。
- 相続登記(不動産名義変更)
- 遺産分割協議書の作成
- 相続人調査・戸籍収集
- 預貯金の相続手続き
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