【障がいのある子の「親なき後問題」】~親の想いを、未来につなぐために~

こんにちは。
埼玉県富士見市、鶴瀬駅東口徒歩2分の司法書士、福田龍之介です。

今回のテーマは「親なき後問題」。
障がいのある子をもつ親御さんが共通して抱える、とても大きな不安――
「私たちがいなくなった後、この子はどうなるのか?」
この問いに、法律や制度を活用して“備える”という選択肢をお伝えします。


■ なぜ「親なき後問題」が社会課題になっているのか

日本では、発達障害や知的障害、精神障害、身体障害などを持つ人の数は年々増加しています。
厚労省の資料によると、知的障害者のうち在宅で暮らす人の約7割が家族と同居しており、その多くが高齢の親との2人暮らしです。

支援の中心が「家族」、特に「親」である現状の中、親の高齢化とともに
「この子が一人になるとき」の準備が社会的にも急務になっています。


■ よくあるご相談内容

当事務所でも、以下のようなご相談を多くいただきます。

  • 親が元気なうちにできる準備は?
  • 信頼できるきょうだいがいない。誰に託すべきか?
  • 財産を残しても、本人が適切に管理できるか不安
  • 相続のときに兄弟間で揉めないか心配
  • 今は障がいが軽くても、将来的に悪化したら?

こうした不安に対して、「制度」と「仕組み」をうまく使うことで、安心につなげることができます。


■ 代表的な備え方4選【比較と解説】

① 成年後見制度(法定後見/任意後見)

  • 特徴:判断能力が低下した人に代わって、財産管理や契約行為をする制度
  • ポイント:法定後見は家庭裁判所が後見人を選任。任意後見は、元気なうちに将来の後見人を指定
  • メリット:法律でしっかり保護/不正が起きにくい
  • 注意点:柔軟性に欠ける/報酬が継続的に発生

② 家族信託(民事信託)

  • 特徴:親の財産を「信頼できる人」に託し、障がいのある子のために使ってもらう契約
  • ポイント:生前から財産の使い方をコントロール可能
  • メリット:オーダーメイド設計/財産凍結リスクの回避
  • 注意点:設計が複雑/受託者に管理責任が生じる

③ 遺言・遺言信託

  • 特徴:親が亡くなった後の財産の分け方を指定できる書類
  • ポイント:障がいのある子に必要な分を確実に相続させることができる
  • メリット:法的効力が強い/家族間の争いを防ぎやすい
  • 注意点:書き方に注意が必要(無効になるリスク)

④ 特別障害者扶養信託(税制優遇あり)

  • 特徴:税制優遇を受けながら、障がい者の将来資金を信託で準備
  • ポイント:信託銀行等が受託者となり、最大6,000万円まで非課税
  • メリット:節税効果/制度としての安心感
  • 注意点:使途の制限/金融機関に依頼が必要

■ 実際のご相談事例(仮名・一部編集)

【事例】知的障がいのある長男をもつSさん(富士見市)

Sさん(70代女性)は、知的障がいのある長男(40代)と二人暮らし。
きょうだいは遠方に住んでおり、支援は難しい状況でした。

対応内容:

  • 家族信託:信頼できる甥に財産を託し、長男の生活支援資金に
  • 遺言書:長男の生活費確保と他の相続人への配慮
  • 任意後見契約:親の将来に備えた見守り型の契約

「これでようやく安心して眠れるようになりました」と語ってくださった姿が印象的でした。


■ 親の愛情と責任を“仕組み”でつなぐ

備えは「財産」のことだけではありません。
生活支援・人間関係・相談できる環境――それらを支える「仕組み」こそが、親御さんの想いをつなぐカギです。

制度や契約はあくまで“手段”。
大切なのは、「わが子に幸せに生きてほしい」という想いを、形にして残すことです。


■ 地域の司法書士としてできること

私は、富士見市・ふじみ野市・三芳町など地域に根ざした司法書士として、
単なる制度説明ではなく、「想いを聞き、形にする」ことを大切にしています。

  • ✅ 初回相談無料
  • ✅ ご自宅・施設への出張相談も可能
  • ✅ 他士業との連携によるワンストップ対応

「何から始めたらいいかわからない」
そんな方こそ、ぜひ一度ご相談ください。


この記事を書いた人

福田 龍之介

【資格】司法書士
【略歴】埼玉の地方紙で、記者として約18年間働き、社会部、運動部、
    政治部などの記事を作成。
    その後司法書士として約4年間その専門性を磨き、現在に至る。
【所属】埼玉司法書士会