こんにちは、埼玉県富士見市・鶴瀬駅東口徒歩2分の司法書士福田龍之介事務所です。
高齢化社会が進む中で、認知症になった際の財産管理は多くの方にとって深刻な問題となっています。特に収益物件をお持ちの方にとって、認知症対策は単なる財産保護を超えて、継続的な収益確保という重要な意味を持ちます。
今回は、家族信託を活用した収益物件の認知症対策について詳しく解説いたします。
収益物件における認知症リスクとは
認知症になると何が問題になるのか
認知症により判断能力が低下すると、以下のような問題が生じます:
賃貸借契約の更新ができない
修繕工事の発注ができない
売却や建て替えの判断ができない
銀行口座が凍結される可能性
税務申告が困難になる
これらの問題により、収益物件からの安定した収入が途絶え、物件の価値が下落するリスクがあります。
従来の対策の限界
成年後見制度の課題
従来の認知症対策として成年後見制度がありますが、収益物件の管理においては以下の制約があります:
家庭裁判所の許可が必要な場面が多い
積極的な投資や改修が困難
後見人への報酬が継続的に発生
柔軟な財産活用ができない
家族信託による解決策
家族信託の基本的な仕組み
家族信託では、以下のような関係性を構築します:
委託者:財産を信託する人(物件オーナー)
受託者:財産を管理・運用する人(信頼できる家族等)
受益者:信託の利益を受ける人(通常は委託者自身)
収益物件における家族信託のメリット
1. 継続的な物件管理
委託者が認知症になっても、受託者が物件管理を継続
賃貸借契約の更新や新規契約の締結が可能
必要な修繕工事を迅速に実施
2. 柔軟な財産活用
市場の変化に応じた売却や建て替えが可能
相続を見据えた事前の対策が実施できる
家庭裁判所の許可は原則不要
3. 税務面でのメリット
信託設定時に贈与税は原則かからない
所得税は従来通り委託者(受益者)が負担
相続税対策としても活用可能
具体的な設計例
ケーススタディ:アパート経営をする70歳の方
設定内容:
委託者:アパートオーナー(70歳)
受託者:長男(45歳)
受益者:委託者(当初)→ 配偶者・子供(将来)
信託契約の主な内容:
アパートの管理・運用権限を長男に移譲
賃料収入は当初は委託者が受取
委託者の判断能力低下時は、長男が全権限で管理
将来的な相続時の分割方法も事前に規定
注意すべきポイント
受託者の選定
信頼関係:長期にわたる信頼関係が必要
能力:不動産管理に必要な判断力と実行力
責任感:受益者の利益を最優先に考える姿勢
信託契約の内容設計
管理方法の詳細な規定
収益の分配方法
信託終了条件の明確化
後継受託者の指定
まとめ
家族信託は、収益物件の認知症対策として非常に有効な手段です。成年後見制度では難しい柔軟な財産活用が可能となり、継続的な収益確保と財産価値の維持を実現できます。
ただし、家族信託の設計は複雑で、個々の事情に応じたオーダーメイドの対応が必要です。また、税務面での影響や将来の相続対策も含めて総合的に検討する必要があります。
司法書士福田龍之介事務所では、家族信託を活用した認知症対策について無料相談を承っております。収益物件をお持ちの方、将来の財産管理にご不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせ・ご相談は、お電話(049-227-3167)またはお問い合わせにて承っております。