投稿日:2025年7月5日|カテゴリ:相続・不動産登記|執筆:司法書士 福田龍之介事務所
はじめに
相続手続きを進めている最中に、「登記簿に建物が載っていない…?」という事態に直面したことはありませんか?
それは、建物が「未登記」の状態である可能性があります。
未登記建物は、相続の現場では決して珍しくありません。とはいえ、通常の相続登記とは異なる対応が必要になるため、戸惑う方も多いのが現実です。
本記事では、相続した建物が未登記だった場合に必要な手続きや注意点を、司法書士の視点から分かりやすく解説いたします。
目次
- 未登記建物とは?
- 未登記のままになってしまう主な理由
- 相続における未登記建物の手続きの流れ
- 未登記建物の調査方法
- 表題登記と所有権保存登記について
- 建物を解体する場合の注意点
- 未登記のまま放置するとどうなる?
- まとめ|未登記建物の相続は専門家への相談が安心
未登記建物とは?
未登記建物とは、法務局に建物の登記がされていない状態の建物を指します。
通常、不動産は土地と建物それぞれに「登記簿」が存在し、所有者や構造、面積などが記載されています。
しかし、登記がなされていない建物は、公的に所有者を証明できない状態にあり、相続や売却などの際に問題になることがあります。
未登記のままになってしまう主な理由
- 住宅ローンを利用せず自己資金で建築したため登記が行われなかった
- 表題登記のみ行い、所有権登記(権利登記)を省略した
- 増築や改築部分を登記し忘れた
相続における未登記建物の手続きの流れ
- 未登記建物を課税明細書や名寄帳で調査
- 遺産分割協議書を作成(固定資産評価証明書を参考に建物を特定)
- 土地家屋調査士に依頼して表題登記を行う
- 司法書士に依頼して所有権保存登記を行う
未登記建物の調査方法
以下の書類で未登記建物の有無を確認できます:
- 固定資産税課税明細書:家屋番号欄が空欄または「未登記」となっている
- 名寄帳:市区町村役場で取得可能。登記の有無が記載されている
表題登記と所有権保存登記について
表題登記(土地家屋調査士の業務)
建物の所在・構造・床面積などを登記簿に記載する登記です。
主な必要書類:
- 固定資産評価証明書・納付証明書
- 建物図面・平面図
- 相続関係の戸籍・住民票・印鑑証明書
- 遺産分割協議書
所有権保存登記(司法書士の業務)
初めて建物の名義人を登記簿に登録する手続きです。
相続人のうち建物を引き継ぐ方の名義で行います。
建物を解体する場合の注意点
建物を取り壊す予定がある場合は、登記の代わりに「家屋滅失届出書」を自治体に提出しましょう。
提出を忘れると、解体後も固定資産税が課税され続ける可能性があります。
未登記のまま放置するとどうなる?
- 表題登記の未申請は過料の対象(不動産登記法第164条:最大10万円)
- 土地の固定資産税軽減措置が受けられない
- 金融機関の担保に使えない(抵当権設定が不可)
- 所有権を第三者に主張できない(対抗要件を満たさない)
- 売却や相続手続きが困難になる
まとめ|未登記建物の相続は専門家への相談が安心
未登記建物の相続は、通常の相続登記に比べて複雑かつ手続きが煩雑です。
登記義務化の流れもある中で、放置せず、専門家に相談しながら早めに手続きを進めることが重要です。
当事務所では、司法書士と土地家屋調査士が連携して、表題登記から所有権保存登記までワンストップで対応可能です。
「相続した不動産に未登記建物があるかもしれない」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。
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