自筆証書遺言がお勧めできない3つの理由|司法書士が解説

こんにちは。司法書士の福田龍之介です。

今回は、「自筆証書遺言は本当に安心なのか?」というテーマでお話しします。

最近は、自宅で手軽に書ける「自筆証書遺言」が注目されています。法務局での保管制度も始まり、「これで安心」と思われる方も多いかもしれません。

しかし、実際の現場では「せっかく遺言があったのに、無効になった」「内容に不備があって相続トラブルに」といったケースが少なくありません。

この記事では、自筆証書遺言の注意点やリスクについて、司法書士の視点からわかりやすく解説します。


自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・署名を自筆で書く遺言です。費用がかからず、自宅で作成できる手軽さが魅力です。

ですが、以下のようなリスクも抱えています。


理由1:形式の不備で無効になることが多い

自筆証書遺言は、形式が法律に合っていなければ無効になります。よくある例として:

  • 日付が「令和○年○月吉日」など不明確
  • 財産の記載があいまい(「預金」や「不動産」としか書かれていない)
  • 署名がない、または他人の代筆

こうした形式ミスは意外と多く、せっかくの遺言が無効になってしまう恐れがあります。


理由2:見つからない・隠される可能性がある

自筆証書遺言を自宅に保管する場合、以下のようなリスクがあります:

  • 相続人に見つけてもらえない
  • 誰かに破棄・隠蔽される
  • 偽造や改ざんの疑いをかけられる

さらに、発見されても家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。これには時間も手間もかかります。


理由3:内容があいまいで、かえって争いの原因に

自筆証書遺言では、内容の書き方によって以下のようなトラブルが起きやすくなります:

  • 不動産の特定ができない
  • 「全財産を妻に」など抽象的な表現
  • 遺言執行者の指定がなく、手続きが進まない

結果として、相続人の間で解釈の違いや争いが生まれる可能性があるのです。


自筆証書遺言を使うなら「保管制度」の利用を

令和2年からは、法務局が自筆証書遺言を預かる「自筆証書遺言保管制度」が始まりました。

この制度を使えば、紛失や改ざんのリスクが減り、「検認」も不要になります。ただし、内容のチェックはしてもらえないため、形式や書き方には注意が必要です。


確実な遺言を残したいなら「公正証書遺言」がおすすめ

公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、法的に確実かつ安全です。

以下のようなメリットがあります:

  • 無効になるリスクがほぼゼロ
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配がない
  • 相続手続きがスムーズに進む

「将来の不安を減らしたい」「家族に迷惑をかけたくない」という方は、公正証書遺言の作成を強くおすすめします。


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当記事が少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

福田 龍之介

【資格】司法書士
【略歴】埼玉の地方紙で、記者として約18年間働き、社会部、運動部、
    政治部などの記事を作成。
    その後司法書士として約4年間その専門性を磨き、現在に至る。
【所属】埼玉司法書士会