認知症対策は「今から・全体的に・無理なく」考えることがカギ

こんにちは。司法書士の福田龍之介です。埼玉県富士見市で相続や成年後見、家族信託などをお手伝いしています。

高齢化が進む中、「もし認知症になったらどうしよう」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。実際に、厚生労働省の推計では、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるともいわれています。

今回は、認知症に備えるための「横断的な対策」を医療・介護・法律・お金・家族という5つの視点からご紹介します。将来に備えて、ぜひ今のうちから考えておきましょう。


【1. 医療の視点】認知症を予防・早期発見するためにできること

認知症には完全な予防法はありませんが、リスクを下げたり、進行を遅らせたりすることは可能です。まずは健康習慣を見直し、早期発見に努めましょう。

◆ 早期発見のために

  • 定期的な健康診断を受ける(特に65歳以上)
  • 物忘れ外来や神経内科の受診を検討する
  • 家族が「最近ちょっとおかしいかも」と気づいたら、専門医へ相談する

◆ 生活習慣の見直し

  • バランスの良い食事(地中海食などが推奨される)
  • 定期的な運動(ウォーキング・軽い筋トレなど)
  • 良質な睡眠(7時間以上、寝る前のスマホ使用を控える)
  • 読書や会話、趣味などで脳を活性化する

【2. 介護の視点】「困ってから」ではなく「備えておく」

認知症が進行すると、身の回りのことができなくなり、介護が必要になる場合があります。

◆ 地域包括支援センターを活用 富士見市にもある「地域包括支援センター」では、介護や福祉のことを幅広く相談できます。

◆ ケアマネジャーとの連携

  • 要介護認定を受けると、ケアマネジャーがつきます
  • サービスの選定や介護保険の手続きなどをサポートしてくれます

◆ 利用できる介護サービス

  • デイサービス、ショートステイ、訪問介護など
  • 認知症対応型グループホーム

「まだ元気だから大丈夫」ではなく、情報を知っておくだけで安心感が生まれます。


【3. 法律の視点】判断能力があるうちにやっておきたい3つのこと

認知症になってしまうと、法律行為(契約や財産の管理)が難しくなり、本人の意思を尊重する手段が限られます。そのため、早めの対策が大切です。

(1)任意後見契約

  • 自分で選んだ信頼できる人に、将来の後見を託す契約
  • 公正証書で作成し、判断能力がなくなった時に効力発生

(2)家族信託

  • 財産の管理・運用・処分などを家族に託す制度
  • 柔軟な財産管理が可能で、認知症対策として注目されています

(3)遺言書の作成

  • 自分の意思で財産の分け方を決めておく
  • 家族間のトラブル防止やスムーズな相続手続きにつながる

【4. お金の視点】介護や後見には費用がかかる?

認知症になると、医療費や介護費用、制度の利用料などがかかってきます。制度を理解して準備しておきましょう。

◆ 公的支援制度の活用

  • 高額介護サービス費制度:一定以上の介護費がかかった場合に自己負担を軽減
  • 医療費控除:確定申告で介護費用の一部が控除対象に
  • 成年後見制度利用支援事業:市区町村によって費用の助成制度がある場合も

◆ 家計の備え

  • 介護保険・医療保険の見直し
  • 定期的な家計確認や資産棚卸し

【5. 家族・地域の視点】孤立させない、相談できる関係を

認知症対策は本人だけの問題ではありません。家族全体で考えておくことが大切です。

◆ 家族会議を開こう

  • 本人の希望を聞く(誰に任せたいか、どこで暮らしたいかなど)
  • 財産や支援について家族で共有

◆ 地域とのつながり

  • 認知症カフェや地域サロンに参加する
  • 民生委員や近所の人ともつながりを持つ

まとめ:今できる一歩が、未来を守る

認知症は誰にでも起こりうるものだからこそ、早めの対策が重要です。

「まだ早い」と思わず、ぜひこの機会に、生活習慣・制度・法律・お金・家族の準備について、少しずつ始めてみてください。

司法書士として、任意後見契約や家族信託、遺言のサポートも行っております。

お一人おひとりの状況に合わせたアドバイスをしておりますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

福田 龍之介

【資格】司法書士
【略歴】埼玉の地方紙で、記者として約18年間働き、社会部、運動部、
    政治部などの記事を作成。
    その後司法書士として約4年間その専門性を磨き、現在に至る。
【所属】埼玉司法書士会