相続登記の概要と不動産相続の流れを分かりやすく解説!

不動産の所有者がお亡くなりになり、相続が発生した場合には、相続による名義変更の手続きが必要になります。住宅を購入する際や住宅ローンを完済したときなどは、不動産業者や銀行が司法書士を手配してくれたかもしれません。しかし、相続による登記の場合は、相続人が自分で司法書士を探さしたり、自分で手続きを進めなければなりません。相続登記の基本を解説します。

相続登記はしなければいけないの?

不動産登記とは、どこに、どのような土地又は建物があり、その土地や建物に誰がどんな権利を有しているのかを公示する制度です。これらの内容が不動産登記簿に記録されており、法務局という国の機関によって管理されています。登記簿(登記事項証明書)に記録することを登記といいます。

登記簿には、表題部と権利部があり、さらに権利部には甲区と乙区があります。表題部には不動産の情報(地目、地積、床面積など)権利部には個人や法人の権利(所有権、抵当権など)が記録されています。表題部に変更があった場合は、30日以内に変更する義務があります。一方、権利部に変更があっても変更する義務はありません。

不動産の所有者が死亡し相続が発生した場合、この権利部の名義を変更することができます。この名義変更の手続が相続登記と呼ばれるものです。先に述べたとおり、権利部の変更は義務ではありません。よって、相続登記は義務ではありません。相続登記をするかはその人の自由です(※注)。

※注 令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。放置しておくと10万円以下の過料が課される可能性があります。

相続登記をしないとどうなる?

相続登記には、登記をしなければならない義務はありません。しかし、登記をしなかった場合のリスクはあります。

  1. 相続登記後でなければ、不動産を売却できない
  2. 相続登記を放置して代替わりが進み、いざ相続登記をしようと思ったら必要な書類が膨大になり、専門家に依頼する費用が高額になってしまう
  3. 代替わりが進み、知らない相続人とも話し合わなければいけなくなる
  4. 不動産の所有者でない者が真実の所有者と偽り、権利証や印鑑証明書を偽造して他人の不動産を売却し現金をだまし取る地面師の被害に遭う可能性がある

相続登記に必要な書類は?

現時点で相続登記を放置している場合は、令和6年4月1日から始まる相続登記も踏まえ、早急に対応した方がいいと思います。上記のようなリスクがある以上、先延ばしにしていいことは一つもありませんし、事態は悪化するばかりだからです。

では、相続登記に必要な書類はなんでしょうか。

相続人全員で話し合う遺産分割協議をした場合と、遺言があった場合について分けて記載します。

【遺産分割協議を行った場合】
①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍等(又は法定相続情報)
②被相続人の住民票(除票)又は戸籍の附票(除票)
③遺産分割協議書
④相続人全員の印鑑証明書
⑤不動産を取得する相続人の住民票(又は戸籍の附票)
⑥不動産評価証明書
【遺言があった場合】※受遺者が相続人である場合
①被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本)
②被相続人の住民票(除票)又は戸籍の附票(除票)
③不動産を取得する相続人の戸籍謄本及び住民票
④遺言書
⑤検認済証明書(公正証書遺言以外で遺言書保管制度を利用していない場合)
⑥不動産評価証明書

通常は、遺言があった方が必要書類は少なくなります。

専門家に依頼した方がいいケース

①数次相続が発生している場合

数次相続(すうじそうぞく)とは、被相続人の遺産相続が開始した後、「遺産分割協議」や「相続登記」を行わないうちに相続人の一人が死亡してしまい、次の遺産相続が発生してしまっているケースです。このような場合は、相続人が増えて、手続きが複雑になってしまっているケースが多いです。

②相続関係が複雑な場合

被相続人に前妻の子がいたり、愛人の子どもが現れたり、養子縁組などを行っている場合は複雑になりがちです。また、本来相続人になるべき人が被相続人の死亡よりも前に死亡していた場合に、被相続人の孫が相続する代襲相続などがある場合も専門家に依頼した方がいいでしょう。

③相続人の一部が外国にいる場合

お仕事の関係で相続人の一部が外国で暮らしている場合は、特殊な手続が必要になります。

④相続人の一部が行方不明の場合

遺産分割協議をするには、相続人全員で行わなければなりません。相続人の一人が行方不明のまま、遺産分割協議をすることはできません。

⑤かなり古い抵当権が付いていた場合

不動産の名義が祖父のままの不動産で、相続登記をしようと登記簿を取得したら抵当権が付いていたのを初めて知ったというケースで、多いのが休眠担保権です。大正時代や昭和初期に設定された抵当権で、完済しているかどうかも分からない、抵当権者もどこにいるのか分からず行方不明。このようなものを休眠担保権といいます。休眠担保権を抹消するのは、司法書士などの専門家でないと難しいと思います。


以上、専門家に依頼した方がいいケースを挙げてみましたが、単純な相続登記も決して簡単ではありません。おそらく、ほとんどの人が相続登記を経験するのは人生で一度か二度。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めたり、遺産分割協議書や登記申請書の作成など、手間のかかることが多いと思います。最初から専門家に依頼してしまうのもいいかもしれません。

遺産分割協議書についての記事はこちら>

まとめ

相続登記の基本について、まとめてみました。令和6年4月から相続登記が義務化されます。もし相続登記が未了の不動産があったら、早めの対応が肝心です。まずは不動産の名義の確認、そして相続人の確認。いずれも確認のしようがなければ、司法書士などの専門家に相談してみてください。

この記事を書いた人

福田 龍之介

【資格】司法書士
【略歴】埼玉の地方紙で、記者として約18年間働き、社会部、運動部、
    政治部などの記事を作成。
    その後司法書士として約4年間その専門性を磨き、現在に至る。
【所属】埼玉司法書士会